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盆栽のススメ〜植物を知り、人を知る〜

盆栽のススメ

自由大学にて開講されていた「新盆栽学」というワークショップに参加しました。
全5回の授業毎に用意された植物・土・器。
それぞれの回では、盆栽の由来や苔の話・寄せ植えや剪定の話など、5回だけでは伝えきれないであろう盆栽の世界をひとつひとつ丁寧に教えていただきました。
今回はそんな盆栽の魅力をお伝えします。

■自由大学とは

廃校となった旧池尻中学校の校舎を再利用した「世田谷ものづくり学校(IID)」の教室を使い、IT・出版・コミュニケーション・農業など様々なジャンルを取り扱った生涯学習を行なっている学校です。会社が終わった後や休日の時間を使って、日頃考えていることや気になっていることを追求し、新しい出会いや気付きを与える場として、近年の新しい「学びの場」ムーブメントを代表する団体として注目されている学校です。
自由大学:http://www.freedom-univ.com/

■新盆栽学という授業


盆栽職人である塩津丈洋さんが講師として、全5回の講義を通して盆栽の考え方や植物との付き合い方を教えていただきました。毎回一つのテーマに基づき盆栽を制作し、最終回では様々な植物や器を自分で選択し卒業制作を行ないました。
講義で使用される植物は、塩津さんが選ぶ素敵な植物ばかり。そして凄いのは、日本各地の陶芸家がこの新盆栽学のために盆栽の器を制作してくださるのです。
「人が自然について考える上で、植物のことをもっとよく知ることにより、もっと楽しく優しく植物・自然・環境と付き合うことができる」という塩津さんの考えどおり、植物を手で触って植えることで、今まで知らなかった植物の様々な一面を知ることができました。

■なんで盆栽?盆栽ってなに?


盆栽は、植物が創りだす自然美やその背景にある情緒を鑑賞するものだと教わりました。
小さな盆栽が、無限に広がる宇宙のように深遠広大な世界を創りだす、というのです。

宇宙??深遠広大な世界???
いや、いやいやいや。
美と言うものに対する造詣が深くない僕にとっては謎ばかり。
しかし聞けば、日本独特の面白い背景がそこにはあります。

中国にはもともと「盆景」というものがありました。唐の時代なのでおよそ1300年前のことです。山水を二次元化したものが山水画、三次元が庭園。そしてそれを盆の中で楽しんだものが盆景とされています。盆景の盛んな当時の江南地方の貿易商人たちが、平安時代末期に日本に移住してきたときに持ち込まれて物と言われています。

もともと鉢植えのようなものは日本に存在していましたが、「盆景」が中国から入ってきたことにより、鉢植えに「景色」という観点が生まれ「盆栽」が生まれました。

そして日本人の美的感覚と繊細な加工を得意とする独特な技術により、枝を曲げたり、一部を枯らしたり、どんどん小さくしたりすることで、数々の技と日本独特の盆栽という世界観が作り出されていきます。

僕はその日本人独特の美的感覚に、とても興味を惹かれたのです。
その「不思議な世界観」を理解・会得できるかは分からないけど、ちょっと覗いてみたいと思ったわけです。

■盆栽をつくるには


授業では、先生が選んできてくださった可愛らしい植物たちがたくさん!
心打たれる植物を「これ!」と選び抜きます。

そして「根ほどき」をします。
苗から植物を取り出し、根についた土を串で落としていくのです。

これが意外と大変。
植物によってはなかなか取れないものもあり、とても慎重に行なわなければいけません。
根は、植物にとってとても大事な身体の一部。誤って切ってしまうと、これまで土から吸収していた栄養を補えず、そのまま新しい土に植えても枯れてしまうことがあるのです。

土の中で安心していた植物を丸裸にするわけですから、この時間も出来るだけ短くなければいけません。
霧吹きで水分を与えながら、素早く根ほどきをしていきます。

そして、土。
ケト土・富士砂・赤玉土など、色んな種類の土を植物に適した配合で混ぜ、土を作ります。

そして先ほど根ほどきした植物を器に入れ、配合した土をその中へ入れていきます。

苔。かわいい。
もうそのままで十分かわいい。
ジブリ世代な僕にはたまりません。
「やだぁ、もうこのオキナ苔とかちょーかわいい!」と、もはや周りの女性陣と一緒になって乙女になりました。

器に入れた植物。そのままでも盆栽は完成です。
土の上に飾りの砂を敷いたり、苔を敷いて、より素敵な見た目に装飾していきます。
この新盆栽学では、みなさん苔が大好きなので、ほとんど苔で装飾しました。

そんな過程を経て、たくさんの盆栽が出来上がりました。
「苔玉」という、植物の根を苔で多い球状にしたものもたくさん作りました。

ここで掲載している写真は、この自由大学で行なわれた大学祭に出し物として販売したミニ盆栽を作ったときのものです。
色々な方々のお声がけも力になり、無事に約30点のミニ盆栽が完売しました。
みなさん、ありがとうございました。

■盆栽を通して考えた「人」のこと


週に一度、土曜日の午前中に集まり、今まで関わることのなかった方々と一緒に盆栽を作るという経験は、とても楽しかったです。
また、この講義の後も「盆栽を育てていく」ということにより、いつもの生活がちょっと違ったもののようにも感じられています。

先に述べた盆栽の「世界観」を100%理解できたかは分かりません。
宇宙や広大な世界、というより「かわいい!」「かっこいい!」という率直な感覚の方がまだ強いです。

しかし、盆栽を作り植物を知ることで、とても考えさせられたことがあります。
それは「根」の存在のことです。

上でも「根ほどき」について書きましたが、植物は根というものを持っています。それはいつも土の中にあるので、ただ植物を見ているだけではどんな姿をしているか見えません。

植物は根で世界を知る、と教わりました。
まず真っすぐ下へ根を下ろし、盆の底などにぶつかった時点で今度は横に根を逸らしていく。器の底が浅ければ、その植物の背丈も大きくならないというのです。

まるで小さい金魚鉢で育てた金魚は小さく育ち、大きな金魚鉢で育てた金魚は大きくなる、という話ととても似ています。僕は盆栽を作ることを経験してから、街で生えている街路樹や住居の庭に植えられた植物を見て、「この下にはどんな根が植わっているのだろう?」と考えるようになりました。

「根」を知ろうとすること。
それは人との付き合いでも、とても大事なことだと思います。土の上に出ている、その人の在る姿を見ているだけでは、その人のすべてを知ることは出来ません。

もちろん、人のすべてを知ることは出来ませんが、その人の「根」を知ろうとすること・想像することは大事なのだと思うのです。

大きく枝を生やして綺麗な花を咲かしている姿の土下では、繊細で細い根が土に広く絡み付き、必死に栄養を得ようとしているかもしれません。また、ひょっこりと小さく芽を出していても、土の中ではまっすぐで力強い根を生やしているかもしれません。

人と触れ合うときに、そんな「根」を想像して見ることで、表面的だけではなくいろいろな背景や思いを感じることができるかもしれない。

僕は盆栽を通して、そんなことを感じました。

とても個人的な感想を書いてしまいましたが、きっと植物と触れ合うことは人間自身を見つめ直すきっかけになります。「新盆栽学」に集まった面々も、それぞれの考えや発見と出会ったと思います。

もともと植物が大好きな方も、
植物を買ってみたけど枯らしてしまった経験がある方も、
今まで植物には興味がなかった方も、
是非一度自分の手で植物を触り、知り、自然や人間のことを考えてみては如何でしょうか?

そんなとても魅力ある「盆栽」の世界を、
僕はみなさんにおススメします。

この記事で書いている「新盆栽学」についてはこちらから↓
自由大学 新盆栽学 – 植物を楽しく学ぶ、苔玉、枯山水、盆栽づくり講座

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